江戸時代、三井越後屋はすでにブランディングを行なっていた!
kumi.kobayashi新緑の美しい季節になりました。
街を歩いていると、企業や店舗のロゴマークが、
ビルの屋上や壁面など、あちらこちらにみられます。
ロゴマークは、
企業のブランディング戦略に欠かせないもの。
各社ブランドイメージを広げるために様々な場所で活用しています。
実は江戸時代、
ブランディングの先駆けではないかと言える企業がありました。
その様子は、今でも浮世絵で見ることができます。
葛飾北斎が描いた「富嶽三十六景」の「江都駿河町三井見世略図」。
ご存知の方も多いのではと思います。
この富士山の両脇にある建物が、
現在の日本橋三越である三井越後屋です。
江戸時代に創業された三井越後屋は、
三井家の家紋である丸に井桁。
そしてその中に漢字の「三」を入れたデザインで描かれています。
三井越後屋は、このマークを企業のロゴマークとして、
あらゆるところで使用していました。
例えば、看板や現在のチラシのようなものの原型である引札や、
お客様に無償でお貸しした番傘など。
そしてこの番傘は、
今の時代のPRと思える秀逸なエピソードがあります。
雨が降った時、越後屋では、
お客様などに傘を無償で貸し出していました。
この時代、傘は大変高価なもの。
使える人は限られています。
ですので、みなさん傘を借り求めて家路につきます。
越後屋のアイデアは、
ただ傘を貸して恩を売る。というものではありません。
傘に、越後屋のロゴマークを描いていたのです。
想像してみてください。
雨が降った江戸の町は、
越後屋のロゴマークが描かれた傘の花が
たくさん咲いていたのではなかったでしょうか?
想像するだけでワクワクします。
「江戸中を越後屋にして虹が吹き」
という川柳も詠まれたと書かれています。
多くの人の目に触れ、
多くの見込み客に認知してもらうこと。
これは、ブランディングの大きな目的の一つです。
歴史から紐解くビジネスはとても興味深く、
現代ビジネスのヒントにもなりますね。